ホームページ制作を外注しようとしたとき、「どんな流れで進むのかわからない」「自分は何を準備すればいいのか不明」と感じたことはありませんか。
全体像が見えないまま制作が始まると、確認のタイミングを逃したり、想定外の追加費用が発生したりします。 逆に、流れを事前に把握しておけば、制作会社とのやり取りがスムーズになり、納期遅延やトラブルを防げます。
この記事では、ホームページ制作の流れを発注者の目線で9ステップに分けて解説します。 各フェーズの所要期間と、発注者がやるべきことも具体的にまとめました。
ホームページ制作全般の知識はホームページ制作の完全ガイドで体系的にまとめています。
1. ホームページ制作の全体像
ホームページ制作は、大きく分けて「準備フェーズ」「制作フェーズ」「公開・運用フェーズ」の3段階に分かれます。
3つのフェーズと9ステップの関係
準備フェーズ(ステップ1〜3) 目的を明確にし、制作会社を選び、契約を結ぶまでの段階です。 ここの精度がプロジェクト全体の成否を左右します。
制作フェーズ(ステップ4〜7) サイト設計、デザイン制作、コーディング、テストまでの段階です。 制作会社が主導しますが、発注者の確認・フィードバックも重要な役割を果たします。
公開・運用フェーズ(ステップ8〜9) サイトを公開し、運用・改善を開始する段階です。 公開して終わりではなく、ここからがホームページの本番です。
全体の所要期間の目安
| サイト規模 | ページ数 | 所要期間 |
|---|---|---|
| 小規模(名刺サイト) | 5〜7P | 1〜2ヶ月 |
| 中規模(コーポレート) | 10〜20P | 2〜4ヶ月 |
| 大規模(サービスサイト) | 20〜50P | 3〜6ヶ月 |
| 特大規模(ポータル・EC) | 50P以上 | 6ヶ月以上 |
制作期間は「制作会社の作業時間」だけでは決まりません。 発注者側の確認・フィードバックの速度も大きく影響します。
確認に1週間かかれば、それだけ全体のスケジュールが1週間後ろにずれます。 スケジュールを守るためには、発注者側のレスポンスの速さも重要です。
2. 9ステップの詳細解説
ステップ1:目的とゴールの明確化
ホームページ制作の最初のステップは、「なぜホームページが必要なのか」を明確にすることです。
「とりあえずホームページが欲しい」では、制作会社も適切な提案ができません。 以下の質問に答えられる状態にしておきましょう。
- ホームページの主な目的は何か?(集客、ブランディング、採用、ECなど)
- ターゲットは誰か?(年齢層、業種、地域、悩み)
- ホームページで達成したい具体的な数値目標は?(月間お問い合わせ数、月間アクセス数など)
- 競合他社はどこか?参考にしたいサイトはあるか?
- 公開希望時期はいつか?
この段階で目的が曖昧だと、制作途中で「やっぱりこうしたい」という方針変更が発生し、追加費用と納期遅延の原因になります。
ステップ2:制作会社の選定・比較
目的が明確になったら、制作会社の選定に入ります。
最低でも3社に相見積もりを取ることをおすすめします。 比較のポイントは以下のとおりです。
必ず確認すべきポイント
- 同業種・同規模の制作実績があるか
- 見積もりの内訳が明確か(一式料金は要注意)
- 公開後のサポート体制(保守管理の内容と費用)
- 担当者のコミュニケーション力
- 提案の中に「戦略的な視点」があるか
注意すべきサイン
- 要件を聞かずにすぐ見積もりを出す会社
- 「全部お任せください」としか言わない会社
- 実績サイトが自社のイメージと合わない会社
- 契約前に詳細な仕様を説明しない会社
制作会社選びについてはホームページ制作会社の選び方で詳しく解説しています。
ステップ3:契約・キックオフ
制作会社が決まったら、契約を締結しプロジェクトを開始します。
契約書で必ず確認すべき項目は以下のとおりです。
- 制作範囲(ページ数、機能、含まれる作業の明細)
- 費用と支払い条件(着手金、中間金、検収後の残金など)
- 納期とスケジュール
- 修正回数の上限(デザイン修正は何回まで含まれるか)
- 著作権・所有権の帰属
- 解約条件
- サーバー・ドメインの名義
契約内容のチェックポイントについてはホームページ制作の契約チェックリストも活用してください。
キックオフミーティングでは、制作の進め方、確認のタイミング、連絡手段(メール、チャット等)を取り決めます。
ここで「いつ、何を確認するのか」のスケジュールを共有しておくことで、後の工程がスムーズになります。
ステップ4:サイト設計(情報設計・サイトマップ)
契約後、最初の制作工程はサイト設計です。
この段階で決める内容は以下のとおりです。
サイトマップ(ページ構成)
サイト全体のページ構成を決めます。 どのページが必要で、ページ間の階層関係はどうなるかを整理します。
一般的な企業サイトのサイトマップ例は以下のとおりです。
- トップページ
- 会社概要(代表挨拶、沿革、アクセス)
- サービス紹介(サービスA、サービスB、サービスC)
- 実績・事例
- ブログ(お知らせ、コラム)
- お問い合わせ
- プライバシーポリシー
コンテンツの方向性
各ページにどんな情報を載せるかの方向性を決めます。 テキスト原稿や写真素材をこの段階で準備し始めると、後工程がスムーズです。
ユーザー導線
訪問者がサイトに来てから、最終的にお問い合わせ(コンバージョン)に至るまでの動線を設計します。 どのページからどのページへ誘導するか、CTAボタンをどこに配置するかを決めます。
ステップ5:ワイヤーフレーム作成
サイト設計を基に、各ページのレイアウトの骨組みを作成します。 これがワイヤーフレームです。
ワイヤーフレームは、色やフォントなどのデザイン要素は含まず、「どこに何を配置するか」のレイアウトだけを示したものです。
発注者がワイヤーフレームを確認する際のポイントは以下のとおりです。
- 重要な情報が目立つ位置に配置されているか
- ユーザーが迷わない導線になっているか
- CTAボタンが適切な位置にあるか
- スマホで見たときのレイアウトは問題ないか
- 不足しているコンテンツはないか
ワイヤーフレームの段階で構成の問題を修正するほうが、デザインやコーディングの段階で修正するよりもはるかに低コストです。
この段階での確認は慎重に、丁寧に行いましょう。
ステップ6:デザイン制作
ワイヤーフレームが確定したら、いよいよデザイン制作です。
通常はトップページのデザインから着手し、発注者の承認を得てから下層ページに進みます。
デザインの確認で意識すべきポイントは以下のとおりです。
- ブランドイメージとの一貫性(ロゴ、コーポレートカラーとの整合性)
- ターゲットユーザーにとっての「読みやすさ」「使いやすさ」
- 競合サイトとの差別化ができているか
- スマホでの見え方・操作性
- 写真や画像のクオリティ
デザイン確認時に注意したいのが、「個人の好み」でフィードバックしないことです。
「この色が好きじゃない」ではなく、「ターゲットである40代経営者に信頼感を与えるには、もう少し落ち着いたトーンのほうが良いのでは」というように、目的に紐づいたフィードバックを心がけましょう。
多くの制作会社では、デザイン修正の回数に上限を設けています(一般的には2〜3回)。 修正指示は一度にまとめて伝えるほうが効率的です。
ステップ7:コーディング(実装)
確定したデザインを、実際にブラウザで表示できるWebページとして構築する工程です。
HTML、CSS、JavaScriptなどの言語を使ってコーディングを行い、CMSの設定やフォーム機能の実装もこの段階で行います。
発注者がこの段階で注意すべきことは以下のとおりです。
- テスト環境(ステージングサイト)のURLを共有してもらう
- テスト環境で実際に操作して動作を確認する
- テキストの誤字脱字をチェックする
- リンク切れがないか確認する
- お問い合わせフォームのテスト送信を行う
特にフォームのテスト送信は必須です。 「フォームが動かない」「送信完了メールが届かない」「自動返信メールの内容が間違っている」といったトラブルは、公開後に発覚すると機会損失に直結します。
ステップ8:最終確認・公開
テストが完了し、問題がなければ本番環境への公開です。
公開前の最終チェックリストは以下のとおりです。
- 全ページの表示確認(PC・スマホ・タブレット)
- 主要ブラウザでの表示確認(Chrome、Safari、Edge、Firefox)
- フォームの送受信テスト
- 外部リンク・内部リンクの動作確認
- SSL(HTTPS)の適用確認
- OGP設定の確認(SNSシェア時のタイトル・画像)
- Google Analyticsの計測タグの設置確認
- Google Search Consoleへのサイト登録
- XMLサイトマップの送信
- ファビコン(ブラウザタブのアイコン)の設定
- 404ページの設定
- プライバシーポリシーの掲載
公開のタイミングは、アクセスの少ない時間帯(深夜〜早朝)がおすすめです。 万が一トラブルが発生しても、影響を最小限に抑えられます。
公開後は速やかにGoogleにインデックス登録をリクエストし、サイトが検索結果に表示されるようにしましょう。
ステップ9:運用・改善
公開して「完了」ではありません。 ホームページは公開してからが本番です。
公開後に取り組むべきことは以下のとおりです。
公開直後(1〜2週間)
- アクセス解析ツールが正しく動作しているか確認
- 検索結果への表示状況を確認
- ユーザーからのフィードバック収集
- 不具合や表示崩れの修正
継続的に行うこと
- ブログ記事やお知らせの定期更新
- アクセスデータの月次分析
- コンバージョン率の改善施策
- コンテンツの追加・改善
- セキュリティアップデートの適用
- バックアップの取得
特にブログやコラムの定期更新は、SEO集客に直結します。 月に2〜4本の記事を継続的に公開することで、検索エンジンからの流入が徐々に増加します。
3. 各フェーズの所要期間の目安
9ステップの各フェーズにどれくらいの期間がかかるのか、一般的な中規模サイト(10〜20ページ)を例に示します。
| ステップ | 内容 | 所要期間の目安 | 主な担当 |
|---|---|---|---|
| 1 | 目的・ゴールの明確化 | 1〜2週間 | 発注者 |
| 2 | 制作会社の選定・比較 | 2〜4週間 | 発注者 |
| 3 | 契約・キックオフ | 1〜2週間 | 両者 |
| 4 | サイト設計 | 1〜2週間 | 制作会社(発注者確認) |
| 5 | ワイヤーフレーム作成 | 1〜2週間 | 制作会社(発注者確認) |
| 6 | デザイン制作 | 2〜4週間 | 制作会社(発注者確認) |
| 7 | コーディング | 2〜4週間 | 制作会社 |
| 8 | 最終確認・公開 | 1〜2週間 | 両者 |
| 9 | 運用・改善 | 継続 | 両者 |
| 合計 | 約2.5〜5ヶ月 |
期間が延びる主な原因
実際のプロジェクトでは、見積もりどおりに進まないことも少なくありません。 期間が延びる主な原因は以下のとおりです。
発注者側の原因
- 確認・フィードバックに時間がかかる
- 原稿や写真素材の準備が遅れる
- 社内の意思決定に時間がかかる(承認者が複数いる場合)
- 途中での仕様変更・追加要望
制作会社側の原因
- 他案件との並行作業による遅延
- 要件の認識違いによる手戻り
- 技術的な課題の発生
スケジュールを守るためのコツは「確認期限を事前に決め、厳守する」ことです。 制作会社から確認依頼が来たら、3営業日以内にフィードバックを返すルールにしておくと、全体のスケジュールが大きく崩れることを防げます。
スケジュール短縮のポイント
急いでサイトを公開したい場合は、以下の方法でスケジュールを短縮できます。
- 原稿・写真素材を事前に準備しておく
- 参考サイトやイメージを具体的に伝える
- 社内の意思決定者を1人に絞る
- デザイン修正の回数を最小限にする
- 完璧を求めず「公開後に改善する」前提で進める
特に「原稿の事前準備」は効果が大きいです。 制作が止まる最大の原因は「発注者からの原稿が来ない」であることが非常に多いです。
4. 発注者がやるべきこと・準備すべきもの
制作会社に丸投げしても良いサイトはできません。 発注者が積極的に関わることで、制作の質とスピードが格段に上がります。
制作前に準備すべきもの
必須
- 会社のロゴデータ(AI、PNG等の高解像度データ)
- 会社概要の基本情報(社名、住所、電話番号、設立年、代表者名など)
- サービス内容の説明文(箇条書きでもOK)
- 写真素材(社屋、スタッフ、サービスの様子など)
- 参考サイトのURL(「こんな雰囲気にしたい」という参考を3〜5サイト)
あると望ましい
- ブランドガイドライン(コーポレートカラー、フォント指定等)
- 過去の会社案内パンフレット
- お客様の声・導入事例の素材
- 社内で使っている営業資料
- 競合他社のリスト
制作中に発注者がやるべきこと
確認依頼には期限内に回答する
前述のとおり、確認のレスポンスが遅れると全体のスケジュールに影響します。 社内に複数の確認者がいる場合は、窓口を1人に絞り、社内調整は窓口担当が行うようにしましょう。
フィードバックは具体的に伝える
「なんか違う」「もうちょっとかっこよく」といった曖昧なフィードバックは、制作会社にとって最も対応が難しいものです。
以下のように具体的に伝えましょう。
- 「ヘッダーの背景色を、もう少し落ち着いたネイビーにしてほしい」
- 「ファーストビューのキャッチコピーを、もっとターゲットの悩みに寄せた表現にしたい」
- 「サービス紹介ページに、料金の目安を追加してほしい」
仕様変更は影響範囲を確認してから決める
制作途中で「やっぱりこのページも追加したい」「機能を変更したい」という要望が出ることがあります。
仕様変更は追加費用とスケジュール遅延の最大の原因です。 変更を依頼する前に、制作会社に「この変更の影響範囲、追加費用、スケジュールへの影響」を確認しましょう。
原稿は「完璧」でなくてOK。ただし「早く」出す
プロのライターのような文章でなくても構いません。 箇条書きでも、メモ書きでも、伝えたい内容が書かれていれば制作会社がリライトしてくれます。
重要なのは「情報の正確さ」と「提出のスピード」です。
公開後に発注者がやるべきこと
アクセスデータを定期的に確認する
Google Analyticsの基本的な見方を制作会社に教えてもらいましょう。 月に一度、アクセス数・お問い合わせ数・人気ページの確認を行うだけでも、サイトの状況が把握できます。
コンテンツを定期的に更新する
お知らせやブログを定期的に更新することで、検索エンジンからの評価が上がり、アクセス数が増加します。 月に2〜4本の記事を目標にしましょう。
サイトの情報を最新に保つ
サービス内容の変更、料金の改定、スタッフの入れ替えなど、情報の変化があったら速やかにサイトに反映しましょう。 古い情報が掲載されたままだと、ユーザーの信頼を損なうだけでなく、トラブルの原因にもなります。
費用の全体像はホームページ制作の費用相場で確認できます。
5. FAQ
Q. 制作途中でキャンセルはできる?
契約書の内容によりますが、一般的にはキャンセル可能です。 ただし、すでに進行した工程分の費用は請求されるのが通常です。
着手金を支払っている場合、キャンセル時の返金は難しいケースがほとんどです。 契約前にキャンセル条件を必ず確認しておきましょう。
Q. 原稿は自分で書かないといけない?
必ずしも自分で書く必要はありません。
多くの制作会社は、ヒアリングをもとに原稿を作成するサービスを提供しています。 ただし、原稿作成は別途費用がかかることが一般的です。
自分で書く場合は、箇条書きのメモ程度でOKです。 制作会社が読みやすい文章にリライトしてくれます。
Q. 写真は自分で用意する必要がある?
フリー素材(写真AC、Unsplash等)を使う方法と、プロカメラマンに撮影を依頼する方法があります。
フリー素材は費用がかかりませんが、競合サイトと同じ写真が使われるリスクがあります。 オリジナルの写真撮影を依頼する場合は、5万〜20万円程度の追加費用が目安です。
飲食店、美容院、クリニックなどビジュアルが重要な業種では、プロの撮影をおすすめします。
Q. 制作会社とのやり取りはどの程度頻繁?
プロジェクトの規模にもよりますが、一般的には以下の頻度です。
- キックオフ時:1〜2時間のミーティング
- 設計・デザインフェーズ:週1回程度の確認
- コーディングフェーズ:2週間に1回程度の進捗報告
- テスト・公開フェーズ:必要に応じて随時
チャットツール(Slack、Chatwork等)を使えば、都度のコミュニケーションが効率的になります。
Q. 公開後にページを追加したい場合は?
CMSが導入されていれば、ブログ記事やお知らせの追加は自分でできます。
新しいサービスページの追加など、デザインやコーディングが必要な変更は制作会社に依頼する必要があります。 費用は1ページあたり1万〜5万円程度が目安です。
保守契約にページ追加が含まれている場合もあるので、契約内容を確認しましょう。
6. まとめ
ホームページ制作は「目的の明確化」から「運用・改善」まで、9つのステップで構成されます。
この記事のポイントを振り返ります。
- 制作の流れは「準備」「制作」「公開・運用」の3フェーズ、9ステップ
- 中規模サイトの場合、全体で約2.5〜5ヶ月が目安
- スケジュール遅延の最大の原因は「発注者側の確認遅れ」と「原稿未提出」
- 原稿・写真素材の事前準備がスケジュール短縮のカギ
- フィードバックは具体的に、期限内に返すことが大切
- 公開後の継続的な更新と改善が、ホームページの成果を左右する
全体の流れを把握しておくだけで、制作会社とのコミュニケーションが格段にスムーズになります。
制作会社の選び方についてはホームページ制作会社の選び方、費用についてはホームページ制作の費用相場、契約時の注意点はホームページ制作の契約チェックリストをあわせてご覧ください。 ホームページ制作の全体像を掴みたい方はホームページ制作の完全ガイドを参考にしてください。
